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山田 えいとの写メ日記

2024年03月24日 13時28分 ハート11

No.174 時代の移り変わり

一時期、お婆ちゃんの昔話を聞くのが病的に好きでした。


ここでは親しみを込めて「祖母」ではなく「お婆ちゃん」と言いましょう。


僕の実家は父方のお婆ちゃんと一緒に暮らしていました。僕のお婆ちゃんはタラの芽の天ぷらを作るのがとても上手です。


そんなお婆ちゃんは、よく昔の話をしてくれました。学生時代に流行っていた遊び、僕が子どもの頃のエピソード、戦後の日本の話。などなど。


でも僕が一番記憶に残っているのは、8年前に亡くなった僕のお爺ちゃんとの出会いについてです。つまり、おじじとおばばの馴れ初めの話ですね。


よく2人で喫茶店に行ってたんだ〜とか、どこどこで待ち合わせすることが多かったんだ〜とか、お爺ちゃんも昔はカッコよかったのよ、フサフサで〜とか。


それである時、2人の思い出の曲を教えてくれたんです。2人がひとつの部屋で一緒に聴いていた曲。


フランク永井『有楽町で逢いましょう』


「もう最近はもう全然聴かなくなっちゃったわ、、、」とお婆ちゃんは言うので、僕は善意のつもりでスマホのApple Musicからその曲を流してあげました。


僕とお婆ちゃんしか居ない静かな部屋に、哀愁感漂う官能的なイントロが流れ出しました。


そのとき、お婆ちゃんはとても切なそうな顔をしました。


「ごめんね、、、やっぱり今日はやめておこうかしら」


僕はすぐに音楽を止めました。

きっと、お爺ちゃんに逢いたくなって、寂しくなっちゃったのかな




その後、僕は一人で自分の部屋に戻って、『有楽町で逢いましょう』を聴きました。


熱い熱い恋の唄でした。この唄が無かったら、僕はきっと産まれてこなかったのかも。と思えるほどの。

コメント一覧

  • 匿名希望 さん

    なんてええ話…
    愛に溢れた素敵なご家族なのが伝わってきます。
    えいとくんが生まれてきてくれたこと、おじいちゃんとおばあちゃんに感謝です。フランク永井さんにも。
  • 匿名希望 さん

    感動して涙が出てきそうです。切ない気持ちになっちゃったけど、そう言う思い出の曲がちゃんとあって、ずっと想い続けられるお爺ちゃんと出逢えたという経験は、とてつもなく素敵なことですね。そういう人生を送りたいって思いました。
    素敵なお話ありがとうございます。
  • 匿名希望 さん

    心がギュッとなるエピソードですね。

    江國香織さんのエッセイ(多分、角川文庫あたりの初期のやつ)の中の、ご両親が夜中、レコードプレイヤーの前に座って音楽を聴いていたのを見た話を思い出しました。
    ご両親とも既に故人で、おばあちゃんと近い世代かもしれません。
    江國家の家族話は面白いので、よければ読んでみてほしいです♪